2025年 中小企業新事業進出補助金 - 申請の要件、対象経費、スケジュールを行政書士が解説!

(2025年4月24日 更新)

2025年4月22日に中小企業新事業進出補助金の概要が発表されました。 中小企業新事業進出補助金は、新規事業へ挑戦を目指す中小企業の設備投資を促進することを目的としています。 典型的な活用事例として、機械加工業でのノウハウを活かした、半導体製造装置部品製造への新規参入や、 医療機器製造の技術を横展開する、ウイスキー製造業(蒸留)への新規進出が想定されています。 本稿では、銀行への勤務経験もある行政書士が、「中小企業新事業進出補助金」の申請の要件、対象経費、スケジュールについて解説いたします!

2025年 中小企業新事業進出補助金 - 申請の要件、対象経費、スケジュールを行政書士が解説!

中小企業新事業進出補助金のスケジュール

4月22日に公募要領が発表、申請の開始は6月中旬、申請の〆切は7月10日の予定です。採択は10月頃とされています。 また、補助事業の実施期間は、交付決定日から14か月以内(ただし採択発表日から16か月以内)でることと、事業計画期間が3~5年であることも公表されています。 ものづくり補助金と比べると、補助事業の実施期間は4ヶ月長く設定されています。 事業計画期間は3-5年間で幅がありますが、報告は5年間実施します。

2025_新事業進出補助金のスケジュール

申請には、「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。審査は書面審査の上、必要に応じて面談(オンラインで15分程度)が行われる場合もあります。

補助率と補助上限額

補助率は1/2で固定、補助上限額は下記の通りです。 従業員数によっても、補助上限額が大きく異なる点が、中小企業新事業進出補助金の特徴です。 大幅な賃上げは、事業終了時に①給与支給総額を6%以上、かつ②事業場最低賃金+50円以上とする計画を策定する必要があります(類似の他の補助金よりやや厳しい設定です)。

従業員数補助上限額大幅な賃上げを行う場合
20人以下2,500万円3,000万円
21~50人4,000万円5,000万円
51~100人5,500万円7,000万円
101人以上7,000万円9,500万円

要件

次の7つの要件があり、他の補助金同様に、賃上げが極めて重視されています。※新規事業:事業者にとって新製品(又は新サービス)を新規顧客に提供する新たな挑戦であること。

     
  1. 新事業進出要件
    「新事業進出指針」に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること(後掲参照)
  2. 付加価値額要件
    補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、 付加価値額(又は従業員一人当たり付加価値額)の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること
  3. 賃上げ要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、以下のいずれかの水準以上の賃上げを行うこと
    1. 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一人当たり給与支給総額の年平均成長率を、事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間(令和元年度を基準とし、令和2年度~令和6年度の5年間をいう。)の年平均成長率(以下 「一人当たり給与支給総額基準値」という。)以上増加させること
    2. 補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、給与支給総額の年平均成長率を2.5%(以下 「給与支給総額基準値」という。)以上増加させること
  4. 事業場内最賃水準要件【目標値未達の場合、補助金返還義務あり】
    補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、毎年、事業所内最低賃金が補助事業実施場所都道府県における地域別最低賃金より30円以上高い水準であること
  5. ワークライフバランス要件
    次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表していること
  6. 金融機関要件
    補助事業の実施にあたって金融機関等から資金提供を受ける場合は、資金提供元の金融機関等から事業計画の確認を受けていること
  7. 賃上げ特例要件【要件未達の場合、補助金返還義務あり】
    <賃上げ特例の適用を受ける場合の追加要件>補助事業実施期間内に、以下の要件をいずれも満たすこと
    1. 補助事業実施期間内に、給与支給総額を年平均6.0%以上増加させること
    2. 補助事業実施期間内に、事業場内最低賃金を年額50円以上引き上げること

1.2.3.5.について補足します。

1.新事業の定義

新事業の定義は、中小企業庁の「新事業進出指針」に記載されており、概要次の通りです。

      (1) 製品等の新規性要件
      事業により製造等する製品等が、事業を行う中小企業等にとって、新規性を有するものであること。
      (2) 市場の新規性要件
      事業により製造等する製品等の属する市場が、事業を行う中小企業等にとって、新たな市場であること。 新たな市場とは、事業を行う中小企業等にとって、既存事業において対象となっていなかったニーズ・属性(法人/個人、業種、行動特性等)を持つ顧客層を対象とする市場を指す。

製品の新規性のみならず、市場区分の新規性が認められる点が重要です。ただし、単なる商圏の拡大(地理的範囲の拡大)は新規要件を満たしません。

2.付加価値の考え方

付加価値は「営業利益+人件費+減価償却費」とされています。人件費と減価償却費の予測は比較的立てやすいので、営業利益が右肩上がりの基調にあることが重要と言えそうです。

3.1 事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率

地域によって3%から4%の幅があります。

都道府県別最低賃金年平均成長率.jpg

5.ワークライフバランス要件の一般事業主行動計画とは

一般事業主行動計画(以下「行動計画」)とは、次世代育成支援対策推進法(次世代法)に基づき、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たって、(1)計画期間、(2)目標、(3)目標達成のための対策及びその実施時期を定めるものです。 従業員101人以上の企業には、行動計画の策定・届出、公表・周知が義務付けられていますが、本補助金では、従業員数に関わらず公表が要件とされます。

補助対象経費

補助対象経費は次の通りです。土地は対象外ですが、建物と構築物は対象です。

  • 建物費
  • 構築物費
  • 機械装置・システム構築費
  • 技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費
  • 広告宣伝・販売促進費

対象となる経費や設備は、下記のような具体例が公表されています。人件費・研修費も対象が例示されていことが特徴的です。

  1. 設備導入費(機械・システム導入 など)
  2. マーケティング費用(市場調査・広告宣伝 など)
  3. 人件費・研修費(新事業に必要な専門人材の採用や教育 など)
  4. 外注費(製品開発や試作品制作 など)

まとめ

「中小企業新事業進出補助金」は、最大で9,500万円の補助が見込める大型の補助金である一方、採択率はさほど高くないことが想定される中、賃上げ要件他要件を満たす事業計画の策定が極めて重要です。 筆者は、銀行勤務経験(法人営業)を有する行政書士として、中小企業の皆様の「中小企業新事業進出補助金」 の相談と申請支援に応じています。 加えて当事務所では、中小企業の皆様により上質なサービスを提供すべく 当事務所代表と同様の知識と経験を有する行政書士とともに、単独受任時と変わらない報酬での共同受任にも応じています。 LINE、問い合わせフォーム、または、お電話にてお気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。

提携先:行政書士藤原七海事務所

参考法令・資料

  1. 独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業新事業進出補助金サイト
  2. 2025年 中小企業省力化投資補助金チラシ
  3. 中小企業庁「新事業進出指針」- 令和7年4月22日

本稿の筆者

Yohei Komori

行政書士
基本情報技術者
J.S.A. ワインエキスパート
古森洋平 Yohei Komori

080-6521-1647

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