ものづくり補助金の第19次公募要領 ― 要件、対象の経費、申請のポイントを解説
中小企業が新たな製品・サービス開発や海外市場進出に取り組むため、国は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を実施しています。第19次公募では、企業の成長や賃上げ、付加価値向上を狙った事業計画に対して、必要な設備投資やシステム構築の経費の一部を補助する仕組みが整えられています。ここでは、補助金の目的、申請スケジュール、支援内容、基本要件や特例措置など、主要なポイントを、銀行と投資銀行に勤務経験のある行政書士の古森(こもり)が解説します。

補助金の目的と支援対象
本補助金は、物価高騰や人件費上昇、最低賃金引上げなど厳しい経営環境に直面する中小企業が、持続的な成長戦略の一環として新製品や新サービスの開発、さらには海外市場開拓に挑戦する際の設備投資を支援するものです。企業全体の事業計画と連動した取り組みが求められ、具体的には以下のような事業が対象となります。
- 革新的な新製品・新サービス開発: 自社の技術力を活かし、顧客に新たな価値を提供する取り組み。ただ単なる設備導入ではなく、「革新的な新製品・新サービス開発や 海外需要開拓」に資する設備であることがポイントです。
- 海外需要の開拓(グローバル枠): 輸出やインバウンド対応、海外企業との連携など、国内外の市場拡大に向けた事業が評価されます。
補助の上限額と補助率
ものづくり補助金では、事業区分に応じた補助上限額と補助率が設定されています。
製品・サービス高付加価値化枠
・従業員5人以下:補助上限額750万円(中小企業は1/2、小規模企業・小規模事業者及び再生事業者は2/3)
・従業員6~20人:補助上限額1,000万円
・従業員21~50人:補助上限額1,500万円
・従業員51人以上:補助上限額2,500万円
グローバル枠
従業員規模に関係なく、補助上限額は3,000万円で、補助率は中小企業は1/2、小規模企業・小規模事業者は2/3です。
申請スケジュールと申請書類
補助金の申請は、電子申請システムを利用して行われます。申請にあたっては、事前に「GビズIDプライム」アカウントの準備が必要となります。スケジュールの概要は以下の通りです。
- 公募開始: 2025年2月14日(金)
- 電子申請受付開始: 2025年4月11日(金)17:00~
- 申請締切: 2025年4月25日(金)17:00【厳守】
- 採択公表: 2025年7月下旬頃
また、申請書類としては事業計画書、経費明細、加点項目に関する資料、決算書など多数の書類が求められるため、事前の準備と各種支援機関の活用が推奨されます。
4つの要件
補助金の採択には、下記の4つの要件をクリアする必要があります。
- 付加価値額の増加: 事業計画期間(3~5年)において、企業の付加価値額を年平均3.0%以上増加させる目標が求められます。具体的には「営業利益+人件費+減価償却費」により算出される付加価値額が対象です。
- 賃金の増加: 従業員及び役員の給与支給総額が、年平均2.0%以上(または地域の最低賃金の成長率を上回る)増加することが求められます。個々の目標値を定め、未達成の場合は補助金の一部返還措置が取られるため、実現可能な計画の策定が不可欠です。
- 事業所内最低賃金の引上げ: 事業実施地域の最低賃金に対し、+30円以上の引上げが必要とされています。こちらも毎年の達成状況がチェックされ、未達成の場合は返還の対象となる場合があります。
- 従業員の仕事と子育ての両立支援: 従業員が21名以上の場合、次世代育成支援策として、一般事業主行動計画の策定と公表が求められます。これは企業としての働きやすさ向上や、長期的な人材育成にも寄与する取り組みです。
4つめの「従業員の仕事と子育ての両立支援」の条件は従業員が20人以下の場合は満たす必要がありませn。また、グローバル枠の場合は、上記基本要件に加えて、海外市場への取り組みや実現可能性調査、専門人材の確保といった追加要件が課せられます。
付加価値の考え方
付加価値は「営業利益+人件費+減価償却費」です。このうち、減価償却費と人件費は比較的予想が立てやすいです。営業利益を3年後(5年後)にしっかり上げることが、ものづくり補助金の要件の中では最大のポイントです。補助対象経費
補助対象経費は、機械装置・システム構築費を中心に、以下のような項目が含まれます。とくに加点はなるべく多くとった方が採択率も上がりやすい傾向にあります。
- 機械装置・システム構築費: 工具や専用ソフトウェア、設置工事など、設備投資全般が対象となります。なお、単価50万円(税抜)以上のものが必要です。
- 運搬費や外注費: 設備購入に伴う運送費や、新製品・サービス開発のための外部委託費用も一定割合で補助対象となります。
- 海外関連費用: 輸出や海外展開を視野に入れる場合、海外旅費や通訳・翻訳費、広告宣伝費なども補助対象となるケースがあります。
補助上限額や補助率は、企業の規模や採択枠(国内向けかグローバル向けか)によって異なり、特例措置として大幅な賃上げや最低賃金引上げに取り組む事業者は、補助上限額や補助率がアップされる制度も設けられています。
特例措置と返還ルール
大幅な賃上げに取り組む企業に対しては、特例措置として補助上限額の引上げ(最大1,000万円増額)や、最低賃金引上げに対する補助率の引上げ(1/2から2/3へ)が認められます。しかし、目標値未達成の場合には、上乗せ分の返還や一定の割合での返還措置が適用されるため、目標達成に向けた具体的な計画策定と、各年ごとの進捗管理が求められます。
審査項目と加点
採択審査では、以下の点が重点的に評価されます。
- 事業性・経営力: 経営戦略の具体性、市場分析、製品・サービスの競争優位性、ブランディングの明確さが審査されます。
- 実現可能性: 設備投資の効果や、実施計画の合理性、費用対効果の高さが評価の対象となります。
- 加点項目: 経営革新計画の承認、パートナーシップ構築宣言、DX認定、健康経営優良法人認定など、さまざまな加点項目の取得状況が採択の決定に影響を与えます。
申請書類と事後報告の義務
申請にあたっては、企業情報、事業計画書、経費明細、各種誓約書、決算書、さらには加点に関する証明資料など、多数の書類を提出する必要があります。また、採択後は事業実施期間中に定期的な事業化状況報告(全6回)が求められ、特に設備投資後の実績や最低賃金、給与支給総額の推移について詳細な報告が必要です。これらの報告は、補助金の適正利用や事業計画の達成度を確認するために重要なプロセスとなっています。
まとめ
ものづくり補助金の申請では、4つの要件に沿いつつ、賃金の引き上げなどの立法趣旨も考慮した事業計画を策定することが重要です。筆者は、銀行と投資銀行に勤務経験のある行政書士として依頼者を最大限サポートします。 相談は無料です。 加えて当事務では、中小企業の皆様により上質なサービスを提供すべく 当事務代表と同等の知識と経験を有する提携先の行政書士とともに、単独受任時と変わらない報酬での共同受任にも応じています。 LINE、問い合わせフォーム、または、お電話にてお気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。
提携先:行政書士藤原七海事務所
参考法令・資料
- ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金-公募要領(第19次公募)
- 全国中小企業団体中央会- ものづくり補助金 - よくある質問
- 参考様式 事業計画書 記載項目(19次締切分)
本稿の筆者

行政書士
東京都行政書士会所属
J.S.A. ワインエキスパート
古森洋平 Yohei Komori